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【労働者派遣・同一労働同一賃金】新しい労使協定のイメージが公表されました。

2月2日、厚生労働省のホームページに、派遣労働者の同一労働同一賃金に関する新しい労使協定等のイメージおよび「協定対象派遣労働者の賃金の額に関する確認書」のイメージが公表されました。


今回公表された労使協定のイメージを見る限り、前回令和2年12月4日版と比較して、法第30条の4第1項第3号の記載が強調されているように感じます。

法第30条の4第1項第3号
派遣元事業主は、前号に掲げる賃金の決定の方法により賃金を決定するに当たつては、派遣労働者の職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験その他の就業の実態に関する事項を公正に評価し、その賃金を決定すること。

【令和2年12月4日版】
(賃金の決定に当たっての評価)
第9条 基本給の決定は、半期ごとに行う勤務評価を活用する。勤務評価の方法は社員就業規則第○条に定める方法を準用し、その評価結果に基づき、第4条第2項の昇給の範囲を決定する。
2 賞与の決定は、半期ごとに行う勤務評価を活用する。勤務評価の方法は社員就業規則第○条に定める方法を準用し、その評価結果に基づき、別表2の備考1のとおり、賞与額を決定する。

【令和4年2月2日版】
(賃金の決定に当たっての評価)
第9条 基本給の決定は、半期ごとに行う勤務評価を活用する。勤務評価は公正に評価することとし、その方法は社員就業規則第○条に定める方法を準用し、その評価結果に基づき、第4条第2項の追加の手当の範囲を決定する。
2 賞与の決定は、半期ごとに行う勤務評価を活用する。勤務評価は公正に評価することとし、その方法は社員就業規則第○条に定める方法を準用し、その評価結果に基づき、別表2の備考1のとおり、賞与額を決定する。
3 ○○手当の決定は、半期ごとに行う勤務評価を活用する。勤務評価は公正に評価することとし、その方法は社員就業規則第○条に定める方法を準用し、その評価結果に基づき、別に定める「○○手当支給規定」により支給を決定する。

そして、以下の注釈が記載されています。

法第30条の4第1項第3号については、派遣労働者の職務の内容、職務の成果、能力、経験等の向上を公正に評価しその結果を勘案した賃金を決定することを労使協定で定めることが要件であるため、一般的に職務の内容、職務の成果、能力、経験等に応じて支給されると考えられる、職務の内容に密接に関連して支払われるものは、全て労使協定に規定する必要があることに留意すること。

また、第9条の記載ぶりのとおり、自社の就業規則等を準用することでも差し支えないが、当該就業規則等には法第30条の4第1項第3号における、派遣労働者の職務の内容、職務の成果、能力、経験等の向上を公正に評価することが具体的に定まっていることが必要となる。


「業務取扱要領」第6>5>(6)>ハ は、この点について述べていますので、もう一度自社の制度規程と比較して確認をしてみて下さい。派遣法に規定された必要記載事項を漏らさず協定するのは当然のこと、協定に基づいた運用が実際になされていないと法違反となりかねません。従来とは業務の取扱いが大きく変わっていますので、十分にご留意のうえ、対応して下さい。

ハ 公正な評価に基づく賃金の決定

派遣労働者の職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験その他の就業の実態に関する事項を公正に評価され、賃金の改善に反映されるよう、適切な評価方法を定めることが必要である。評価の具体的な方法としては様々なものが考えられるが、
例えば、
・ キャリア(スキル)マップを整備し、一定期間ごとに能力評価、派遣就業の状況の確認等により、派遣労働者の就業の実態の当てはめを行うこと
・ 派遣労働者と面談して成果目標を設定し、一定期間後に達成状況について改めて面談を行って評価を決めること
など、
公正さを担保する工夫がなされていることが必要である。なお、正社員の評価方法と同様の方法により派遣労働者の評価を行うことも考えられる。

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