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人手不足に悩む中小企業が育休を進めるには?

現在、厚生労働省では有識者による「今後の仕事と育児・介護の両立支援に関する研究会」が開催されています。
詳しくはこちら:今後の仕事と育児・介護の両立支援に関する研究会

開催要綱にはこの研究会の趣旨として「仕事と育児・介護の両立支援制度等について、現状の分析や論点整理を行い、今後の在り方の検討を行うこととする。」と記載されています。上記のサイトには第2回研究会の資料として、日経xwoman編集部副編集長の小田舞子氏の報告資料や、株式会社高島屋人事部ダイバーシティ推進室長三田理恵氏の報告資料が掲載されており、是非ご一読されることをお勧めします。

上記の報告資料と同時に掲載されている「第1回研究会の議論について」から、育児に関する部分で筆者(下平)が着目した箇所を以下に抜粋・引用します。

2 仕事と育児の両立を実現するための制度の在り方
(1)育児休業
○ 育児休業を取得しやすくするためには、代替要員の活用に関するノウハウの情報提供が重要。代替要員の雇用や派遣社員の受け入れのために、事前に企業内部の予算を用意することや、経験年数の長い社員の業務は、代替要員が直接代替することが難しいため、現場管理者による業務の組み替えることなどが必要である。

(4)その他
○ 少子化対策の関連のみで両立支援策について議論していくと、方向を見誤るので留意が必要。両立支援の本質は、男女が望むキャリアの支援子どもが健やかに育つ環境の整備であり、その基礎にジェンダー平等があるということを議論の前提としていくべき。

職場の中で分断が起こらないよう、育児休業を取得する労働者や育児休業中の人をカバーする周りの労働者についての公平で透明性の高い人事制度、誰でも休める環境により、全ての人が自分のニーズを満たせる働き方を整備することが必要。法制度で対応できない部分もあるが、将来の課題として何ができるかを検討すべき。

4 その他
○ 少子化の問題は、働き方、労働法制、教育制度、税制など、国の制度全般に関わる問題であるということは、背景にある課題として認識を持って検討すべき。広い課題も視野に入れながら、すぐにできること、将来に向けて課題として共有すること、その間で、将来につなげて何かできるかという工夫を考えていくことが必要。次世代法、女性活躍法、労働施策推進法などの在り方が参考になるのではないか。

【筆者(下平)の所感】
弊所への両立支援に係る相談・ご依頼の目的は「法令遵守のため、改正育児・介護休業法に合わせ、自社の規定をアップデートしたい」というケースがほとんどで、制度をどのように従業員に浸透させ、どのように取得を促進するかという点はまだまだ十分でないように思われます。また、社員数が少ない会社ほど、仕事と育児や介護の両立支援に対する関心が低いようです。

弊所としては、
・会社として仕事と育児や介護の両立について何もせず放置すると、会社にどのようなマイナスが生じるのか。
・両立が実現できる働きやすい職場づくりに取り組むと、特に人手不足感の強い中小・零細企業においてどのようなメリットが期待できるのか。
このコラムでは、研究会のその後の動向とあわせ、このような観点からの情報を発信して参りたいと思います。

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