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雇用保険料引き上げ、22年度にも 雇調金増大で財源不足

厚生労働省は雇用保険の保険料率を引き上げる検討に入る。新型コロナウイルス感染拡大で雇用調整助成金の給付が増え、財源が逼迫しているためだ。…日経新聞にそんな記事が掲載されました。
ちなみに、21年度現在の雇用保険料率は以下の通りです。
令和3年度の雇用保険料率について

雇用保険料率は、コロナ禍以前において雇用保険の良好な財政状況等から引き下げられてきました。ところが、コロナによる雇用調整助成金の給付が急増し、一転して財源がひっ迫していることが、引き上げを検討することとなった原因です。
雇用保険法等の一部を改正する法律の概要(平成29年3月31日成立)

また記事では、雇用調整助成金は雇用維持に一定の効果が出ているが、人手があまる業界に働き手がとどまりかねない、とあります。
新しいビジネスやサービスを展開し成長が見込まれる業界や人手不足に悩む企業等へ労働移動を推し進めていかないと、労働市場の調整機能を損ねることにもなりかねないと思われます。


補足

雇用保険は仕事を失った人が生活に困らないようにする失業給付や育児休業給付金が知られていますが、もうひとつ雇用安定や能力開発を目的とした雇用保険二事業があります。「雇用安定事業」と「能力開発事業」を総称して「雇用保険二事業」といい、財源は原則として事業者が納付する二事業率分の保険料から賄われます。

【雇用安定事業】
政府は、被保険者、被保険者であった者及び被保険者になろうとする者(以下「被保険者等」という)に関し、失業の予防、雇用状態の是正、雇用機会の増大その他雇用の安定を図るため、雇用安定事業として、次の事業を行うことができ…(略)
雇用調整助成金は、この雇用安定事業に含まれます。

【能力開発事業】
政府は、被保険者等に対し、職業生活の全期間を通じてこれらの者の能力を開発し、及び向上させることを促進するため、能力開発事業を行うことができ…(略)
人材開発支援助成金は、この能力開発事業に含まれます。

【求職者支援法による認定職業訓練と職業訓練受講給付金】
政府は、被保険者であった者及び被保険者になろうとする者の就職に必要な能力を開発し、及び向上させるため、能力開発事業として、職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律(求職者支援法)に規定する認定職業訓練を行う者に対して、助成を行うこと及び特定求職者に対して、職業訓練受講給付金を支給することができる。

詳しくはこちら 求職者支援制度のご案内

求職者支援制度とは(厚生労働省ホームページより)
●再就職や転職を目指す求職者の方が月10万円の生活支援の給付金を受給しながら、無料の職業訓練を受講する制度
●訓練開始前から、訓練期間中、訓練終了後まで、ハローワークが求職活動をサポート
●離職して雇用保険を受給できない方、収入が一定額以下の在職者の方などが、給付金を受給しながら訓練を受講できます
●給付金の支給要件を満たさない場合であっても、無料の職業訓練を受講できます
●令和2年度は、全国で2万人以上の方が訓練を受講しています

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