コラム
令和3年度地域別最低賃金額改定の目安の公表と業務改善助成金
7月16日、厚生労働省は、中央最低賃金審議会による今年度の地域別最低賃金額改定の目安についての答申を公表しました。
※くわしくはこちら → 令和3年度地域別最低賃金額改定の目安について
答申の内容は以下の通りです。
1,令和3年度地域別最低賃金額改定の目安については、その金額に関し意見の一致をみるに至らなかった。
2,地方最低賃金審議会における審議に資するため、上記目安に関する公益委員見解(別紙1)及び中央最低賃金審議会目安に関する小委員会報告(別紙2)を地方最低賃金審議会に提示するものとする。
別紙1:令和3年度地域別最低賃金額改定の目安に関する公益委員見解
別紙2:中央最低賃金審議会目安に関する小委員会報告
3,地方最低賃金審議会の審議の結果を重大な関心をもって見守ることとし、同審議会において、別紙1の2に示されている公益委員の見解を十分参酌され、自主性を発揮されることを強く期待するものである。
4,中小企業・小規模事業者が継続的に賃上げしやすい環境整備の必要性については労使共通の認識であり、生産性向上の支援や官公需における対応を含めた取引条件の改善等に引き続き取り組むことを政府に対し強く要望する。
特に、事業場内で最も低い時間給を一定以上引き上げ、生産性向上に取り組んだ場合に支給される業務改善助成金について、特例的な要件緩和・拡充を早急に行うことを政府に対し強く要望する。
業務改善助成金:[2]業務改善助成金:中小企業・小規模事業者の生産性向上のための取組を支援|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
5,行政機関が民間企業に業務委託を行っている場合に、年度途中の最低賃金額改定によって当該業務委託先における最低賃金の履行確保に支障が生じることがないよう、発注時における特段の配慮を要望する。
【ポイント】
①最低賃金とは?
企業が労働者に支払わないといけない最低限の賃金(時給額に換算します)で、違反企業には罰則もあります。現在の全国平均は902円。国の審議会が目安を毎年決め、これを基に各都道府県が実際の金額を決定します。ほとんどの都道府県で10月1日以降の労働に対し、新たな最低賃金が適用されます。
②各都道府県の引上げ額の目安については、A~Dランク(※)全てにおいて28円
今年度の目安が示した引上げ額の全国加重平均は28円(昭和53年度に目安制度が始まって以降で最高額)となりました。都道府県の経済実態に応じ、全都道府県をABCDの4ランクに分けて、引上げ額の目安を提示しています。現在、Aランクで6都府県、Bランクで11府県、Cランクで14道県、Dランクで16県となっています。
③中央最低賃金審査会目安に関する小委員会報告によれば、労使の意見に隔たりが大きく、目安を定めるに至らなかったとある。
コロナワクチンの接種が進み、コロナの影響をどう捉えるかで労使の意見が対立したまま、答申はなされました。
休業要請等により経済活動が抑制された状況では、業況の回復はほど遠く、最低賃金の引き上げによって、企業の人件費を増やした結果、倒産、廃業や雇用調整を招く懸念があるとする使用者側の見解と、
最低賃金の確実な引き上げにつながる改定を行わないことは、社会不安の増大や格差を是認することと同義であり、日本の最低賃金は国際的にみても低位であること、最低賃金近傍で働く者の家計には、マスク・手指消毒液などの恒常的な支出増による影響が大きいとする労働者側の見解、
両者の溝が埋まらないまま、産業全体では利益水準が回復していると判断して引き上げが決定されました。
④今後は?
各地方最低賃金審議会で、この答申を参考にしつつ、地域における賃金実態調査や参考人の意見等も踏まえた調査審議の上、答申を行い、各都道府県労働局長により地域別最低賃金額が決定されます。
⑤検討するなら今がチャンス! 業務改善助成金とは?
中小企業・小規模事業者の生産性向上を支援し、事業場内で最も低い賃金(事業場内最低賃金)の引上げを図ったことに対する助成金です。 生産性向上のための設備投資(機械設備、POSシステム等の導入)などを行い、事業場内最低賃金を一定額以上引き上げた場合、その設備投資などにかかった費用の一部が助成されます。
最低賃金が決定されると、タレントやアニメキャラを使った、最低賃金のポスターやチラシを目にされると思いますが、そこにもこの助成金は小さく案内されています。
交付申請、実績報告、状況報告等他の助成金と比べ、書類の提出が多いのがこの助成金の難点なのですが、最低賃金から30円以内の時給で雇用する労働者がいる事業場ではぜひとも検討したい助成金です。
最低賃金はほとんどの都道府県で10月1日から改定されますので、今が検討するチャンスです。
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