
コラム
裁量労働制の導入・継続には新たな手続きが必要です(令和6年4月施行)
くわしくはこちら:裁量労働制の概要
裁量労働制とは
業務遂行の手段、及び労働時間配分の決定を労働者の判断に委ね、その間は一定時間労働したものと「みなす」労働時間制度で、専門業務型裁量労働制と企画業務型裁量労働制の2種類の裁量労働制があります。裁量労働に従事させる場合でも、使用者は、健康管理の観点から、対象労働者の労働時間の状況を、客観的な方法その他適切な方法で把握しなければなりません(安衛法 66 条の8の3)。
裁量労働制をめぐっては、企業側を中心に、「ビジネス環境が変化する中で高い専門性を持つ働き手が、みずからの判断で業務を進めたほうが効率性や創造性が向上する」などとして、対象の拡大を求める声が寄せられていました。
ちなみに厚生労働省は、企画業務型裁量労働制に対し、「経済社会の構造変化や労働者の就業意識の変化等が進む中で、活力ある経済社会を実現していくために、事業活動の中枢にある労働者が創造的な能力を十分に発揮し得る環境づくりが必要となっています。労働者の側にも、自らの知識、技術や創造的な能力をいかし、仕事の進め方や時間配分に関し主体性をもって働きたいという意識が高まっています。」と述べています。
現行の専門業務型裁量労働制
業務の性質上、業務遂行の手段や方法、時間配分等を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要がある業務として、法令等により定められた19業務の中から、対象となる業務を労使協定で定め、労働者を実際にその業務に就かせた場合、労使協定であらかじめ定めた時間を労働したものとみなす制度です。
現行の企画業務型裁量労働制
事業運営上の重要な決定が行われる企業の本社などにおいて企画、立案、調査及び分析を行う労働者を対象とした裁量労働制です。労使委員会の決議において、企画業務型の裁量労働制に該当する業務を定め、当該業務の遂行に必要とされる時間を定めた場合には、当該業務に従事した労働者は、実際の労働時間と関係なく、決議で定めた時間労働したものとみなすという効果が発生します。
裁量労働制に係る省令・告示の改正
裁量労働制の適用拡大等(令和6年4月1日)※
専門業務型裁量労働制の場合(主なもの)
・本人同意を得ることや、同意をしなかった場合に不利益取扱いをしないことを労使協定に定める必要があります。
・同意の撤回の手続きと、同意とその撤回に関する記録を保存することを労使協定に定める必要があります。
・健康・福祉確保措置制度が改正されます。
上記については、裁量労働制を導入・適用するまで(継続導入する事業場では2024年3月末まで)に労働基準監督署に協定届の届出を行う必要があります。
※「労働基準法施行規則及び労働時間等の設定の改善に関する特別措置法施行規則の一部を改正する省令」(令和5年厚生労働省令第39号)及び「労働基準法第38条の4第1項の規定により同項第1号の業務に従事する労働者の適正な労働条件の確保を図るための指針及び労働基準法施行規則第24条の2の2第2項第6号の規定に基づき厚生労働大臣の指定する業務の一部を改正する告示」(令和5年厚生労働省告示第115号)が令和6年4月1日から施行・適用されます。
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