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改正育児・介護休業法が成立

引用/労働新聞 令和3年6月28日3310号(労働新聞社)

6月16日に閉幕した令和3年通常国会で、厚生労働省が提出していた育児・介護休業法改正案が原案通り成立した。
男性の育児休業取得促進のために、子の出生直後の時期に柔軟な取得を可能とする制度の創設が柱である。子の出生後8週間以内に4週間まで休業取得することができ、2回まで分割できる。
小規模事業の労働者でも利用できるよう、代替要員確保や雇用環境の整備などに対して支援を行い、事業主の負担に配慮した制度運営を行うとしている。
出産・育児による労働者の離職を防ぎ、男女ともに仕事と育児などを両立できるようにするのが改正の狙い。
子の出生直後の時期における柔軟な育児休業の枠組み創設のほか、育児休業を取得しやすい雇用環境整備、労働者に対する個別の周知・意向確認の義務付け、育児休業給付に関する規定の整備などを講じるよう規定している。

男性の育児休業取得促進に関しては、子の出生後8週間以内に4週間まで取得することができる柔軟な制度を創設した。
休業の申出期限は、原則的に休業の2週間前までとする。現行の育児休業の「1カ月前」よりも短縮した。
分割取得できる回数は2回とする。なお今回の改正で、従来の育児休業も新たに2回まで分割取得を可能としている。

労使協定を締結すれば、労働者と事業主の個別合意により事前調整した上で、新制度の育児休業中に就業することを認めた。労働者が就業条件を申し出る必要がある。

妊娠・出産(本人・配偶者)の申出をした労働者に対しては、事業主側から制度の周知と休業の取得意向の確認を個別に行うよう義務付けた。

常時雇用する労働者数が1000人超の事業主に対して、育児休業の取得の状況についての公表も義務付けている。

参議院厚生労働委員会の附帯決議では、小規模事業者への配慮を求めた。すべての労働者が育児休業の権利を行使できるよう、小規模事業者における代替要員確保や雇用環境整備に対して支援を行うなど、事業主の負担に配慮した制度運営を行うべきとした。

育児休業中の労働者の就業を可能としたことに関しては、労働者の意に反する取扱いがなされないよう「指針」に明記するとともに、違反が明らかになった場合には厳正に対処する意向だ。

労働者が1000人超の事業主に義務付ける育児休業取得状況の公表では、上場企業などについて有価証券報告書などの企業公表文書への記載を促していく。

施行は、原則として令和4年4月1日。ただし男性の育児休業取得促進制度は、公布日から1年6月を超えない範囲内で政令で定める日となっている。

 

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