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【労働者派遣】令和5年度・労使協定方式

派遣労働者の賃金等の待遇はどのように決まるのでしょうか?

働き方改革関連法による改正労働者派遣法により、派遣元事業主(=派遣会社)は、
①「派遣先均等・均衡方式」(派遣先の通常の労働者(=正社員のイメージ)との均等・均衡待遇の確保)、
②「労使協定方式」(一定の要件を満たす労使協定による待遇の確保)
の、いずれかの待遇決定方式により派遣労働者の待遇を確保することとされました。

このうち、「労使協定方式」については、「同種の業務に従事する一般労働者の賃金」と同等以上であることが要件となっています。
そして、上記のうち②を選択している派遣会社(事業所)は、約9割となっています。

上記の「同種の業務に従事する一般労働者の賃金」は厚生労働省職業安定局長の通達として、例年7月目途に公表され、翌年4月以降の待遇に適用されることとなっていますが、8月26日 、厚生労働省ホームページに令和5年度適用版が公表されました。

この情報・データは派遣会社にとって経営戦略を左右するものとなることは言うまでもありません。令和4年度からどのように更新されたかをおさえたうえで、賃金テーブルの見直しが必要かどうか、ひいては派遣料金の見直しまで早めに着手することをお勧めします。

派遣労働者の同一労働同一賃金について
◎同種の業務に従事する一般労働者の賃金水準(令和5年度適用)
労使協定方式に関するQ&A(第6集)(令和4年8月26日公表)
労働者派遣法第30条の4第1項第2号イに定める同種の業務に従事する一般労働者の平均的な賃金の額に係る通知について

(参考1)一般賃金水準に用いる主な指数の動き
●賞与指数:0.02(変更なし)
●能力経験調整指数(下表の通り)

  0年 1年 2年 3年 5年 10年 20年
令和5年度 100.0 116.2 125.6 129.1 138.1 151.2 191.4
令和4年度 (114.3) (123.9) (128.8) (134.5) (151.1) (188.6)

●一般通勤手当:71円(変更なし ※令和3年度:74円)
●退職金割合:5% (令和4年度:6% ※令和3年度6%)

(参考2)
労使協定方式に関するQ&A【第3集】 令和2年 10 月 21 日公表
問1-1 令和3年度通達(※)の一般賃金の額が、前年度適用の一般賃金の額より下がった場合、協定対象派遣労働者の賃金を引き下げることは可能か。
答 一般賃金の額と同等以上であれば、労働者派遣法第 30 条の4第1項第2号イに直ちに違反するものではないが、非正規雇用労働者の待遇改善という同一労働同一賃金の趣旨及び派遣労働者の長期的なキャリア形成に配慮した雇用管理の実施という労使協定方式の目的にかんがみて、一般賃金の額が下がったことをもって、協定対象派遣労働者の待遇を引き下げる対応は望ましくなく、見直し前の労使協定に定める協定対象派遣労働者の賃金の額を基礎として、協定対象派遣労働者の公正な待遇の確保について労使で十分に議論することが望まれるものである。
また、派遣労働者の待遇の引き下げ等、労働条件の変更については、労働契約法の規定に従う必要があるとともに、次の点からも問題となり得ることに留意が必要である。
① 労使協定に定める昇給規定等の内容によっては、協定対象派遣労働者の待遇を引き下げることが当該昇給規定等を遵守していないことになり、法第 30 条の4第1項第2号ロ又は第3号に違反する可能性があること。
② 待遇を引き下げることを目的に、令和2年度の労使協定から局長通達別添1と別添2の選択を恣意的に変更することなどは認められないこと。

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