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茨城の大型家電量販社員の休日111日に 30年ぶりに労働協約拡張

労働協約の「地域的拡張適用」といわれる決定が22日、厚生労働省から出されました。

くわしくはこちら、労働協約の拡張適用について


●労働協約とは?
労働組合と会社が話し合って決めた労働条件を書面にまとめ、両当事者が署名し、又は記名押印したもので、就業規則や個別の労働契約で協約の水準を下回る労働条件を定めたとしても、それは無効となります。

●労働協約の地域的拡張適用制度(労働組合法第18条第1項)とは?
ある地域で働く同種の労働者の大部分が1つの労働協約の適用を受けるに至った場合、その労働協約が他の同種の労働者にも適用されるものです。当事者の申立てを受けて労働委員会が決議し、厚生労働大臣または都道府県知事が決定するものです。厚労省によると地域的拡張適用の決定は1989年以来。過去8件あるが、厚労相名での決定は初めてとのことです。


●概要:
UAゼンセンヤマダ電機労働組合、ケーズホールディングスユニオン、UAゼンセンデンコードーユニオンの3労働組合が、昨年8月に申立て→1年後の今年8月に中央労働委員会が決議→9月に入って厚生労働大臣が決定。

●適用期間、範囲:
令和4年4月から翌5年5月末までで、範囲は茨城県内全域となっている。

●協約内容:
年間所定休日について1日の所定労働時間が7時間45分を超える場合は111日以上、7時間~7時間45分以下の場合は107日以上と定める。さらに、休日振替をすることなく所定休日に労働した場合には、割増賃金として1時間当たり賃金の135%を支払う――などの条件が適用される。

●協約が適用される労働者:
「大型家電量販店(店舗面積1000m2超などが条件)」に雇用される「無期雇用労働者」。
時給制や日給制の者は対象外で、所定労働時間は1日7時間以上かつ1週35時間以上でなければならない。

●背景:
シフト勤務で働く同業界の年間所定休日数は、多いとはいえない、繁忙や他社との競合から休日数を減らされるケースもみられ、3社の労使間で1つの協約を締結した背景にも、過当競争を防ぐ意図があった。一方で同業界の組合組織率は80%と非常に高い

条文にある「大部分が一の労働協約の適用を受ける」の要件については、すでに同協約が適用されている者の割合が90.8%に上っていることから、要件を満たすと判断した。同県内で協約当事者3社らの営む店舗が51店舗あるのに対し、それ以外の2使用者が営む店舗は5店舗に留まる。大型家電量販店で働く無期雇用フルタイム労働者662人のうち、601人がすでに同協約の適用者だった。

●これからどうなる?
①拡張適用を受ける使用者の中には、年間所定休日を106日と定めるケースがあり、5日の引上げを余儀なくされる。
※中労委の小委員会における審議ではその点、一気に111日以上とするのではなく、段階的に引上げを求めるべきとの意見もあった。実質的に同委員会が協約規範を創設することとなるため、法によって付与された権限を超えると結論している。
②組合側は、協約の期限である令和5年5月以降、引き続き拡張適用を求める意向。

地域における公正労働条件を確立する手法の1つとして、後に続く取組みに期待が集まっている。


労働組合法 第三章 労働協約

(労働協約の効力の発生)
第十四条 労働組合と使用者又はその団体との間の労働条件その他に関する労働協約は、書面に作成し、両当事者が署名し、又は記名押印することによつてその効力を生ずる。

(労働協約の期間)
第十五条 労働協約には、三年をこえる有効期間の定をすることができない。
2 三年をこえる有効期間の定をした労働協約は、三年の有効期間の定をした労働協約とみなす。
3 有効期間の定がない労働協約は、当事者の一方が、署名し、又は記名押印した文書によつて相手方に予告して、解約することができる。一定の期間を定める労働協約であつて、その期間の経過後も期限を定めず効力を存続する旨の定があるものについて、その期間の経過後も、同様とする。
4 前項の予告は、解約しようとする日の少くとも九十日前にしなければならない。

(基準の効力)
第十六条 労働協約に定める労働条件その他の労働者の待遇に関する基準に違反する労働契約の部分は、無効とする。この場合において無効となつた部分は、基準の定めるところによる。労働契約に定がない部分についても、同様とする。

(一般的拘束力)
第十七条 一の工場事業場に常時使用される同種の労働者の四分の三以上の数の労働者が一の労働協約の適用を受けるに至つたときは、当該工場事業場に使用される他の同種の労働者に関しても、当該労働協約が適用されるものとする。

(地域的の一般的拘束力)
第十八条 一の地域において従業する同種の労働者の大部分が一の労働協約の適用を受けるに至つたときは、当該労働協約の当事者の双方又は一方の申立てに基づき、労働委員会の決議により、厚生労働大臣又は都道府県知事は、当該地域において従業する他の同種の労働者及びその使用者も当該労働協約(第二項の規定により修正があつたものを含む。)の適用を受けるべきことの決定をすることができる。
2 労働委員会は、前項の決議をする場合において、当該労働協約に不適当な部分があると認めたときは、これを修正することができる。
3 第一項の決定は、公告によつてする。

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