コラム

東京労働局の報道発表

東京労働局のホームページにて公開された最近の報道発表で、特に注目したいものをご紹介します。
※各見出しに、該当する報道発表へのリンクを設定しています。

6月21日(金)民間人材ビジネスに対する指導監督状況をとりまとめました

延べ3,531事業所に指導監督を実施、1事業主に対して行政処分
主な指導内容として以下のものが掲げられています。
(1)労働者派遣事業に関するもの
① 派遣元事業主に対する指導内容
○労使協定の締結(労働者派遣法第30条の4第1項)・労使協定の内容に不備がある。
○就業条件の明示(労働者派遣法第34条第1項)・就業条件の明示がなされていない、あるいは明示の内容に不備がある。
○派遣元管理台帳(労働者派遣法第37条第1項)・派遣元管理台帳の記載内容に不備がある。
○労働者派遣契約(労働者派遣法第26条第1項)・労働者派遣契約を適正に締結していない。
○マージン率等の情報提供(労働者派遣法第23条第5項)・関係者に対しマージン率等の情報提供が適切に行われていない。

② 派遣先に対する指導内容
○派遣先管理台帳(労働者派遣法第42条第1項)・派遣先管理台帳の記載内容に不備がある。
○労働者派遣契約(労働者派遣法第26条第1項)・労働者派遣契約を適正に締結していない。
○比較対象労働者の待遇等に関する情報提供(労働者派遣法第26条第7項)・派遣元事業主へ情報提供していない。

(3)職業紹介事業者に対する指導内容
○労働条件の明示(職業安定法第5条の3第1項)・求職者に対して業務の内容、労働契約の期間などを適切に明示していない。
○帳簿書類の備付け(職業安定法第32条の15)・求人求職管理簿が作成されていない、あるいは記載に不備がある。
○職業紹介事業の事業実績等の情報提供(職業安定法第32条の16第3項)
・就職者等の事業実績と手数料・返戻金に関する情報をインターネットの利用により適正に提供していない。

 

6月28日(金)東京都内の労働基準監督署における令和5年の申告事案の概要

賃金不払及び解雇の申告件数が増加した。
主な申告による監督指導事例として以下のものが掲げられています。申告とは、最低労働基準を定めた労働基準法などに違反するとして労働者が労働基準監督署に救済を求めるもので、労働基準監督署では、労働者の置かれた状況に意を払い、懇切・丁寧な対応に留意しつつ、迅速・的確に処理を行うものとされています。

違反事項 事例
定期賃金不払 退職した労働者から、15分未満の労働時間を切り捨てて賃金が計算されていたという申告を受け、調査したところ、事実であることが判明したため、是正勧告を行い、不払いの全額が支給された。(商業)
割増賃金不払 退職した労働者から、割増賃金の支給額が法定を下回っているという申告を受け、調査したところ、深夜労働に対する割増賃金は支給されていたが、時間外労働に対する割増賃金が支払われていなかった事実が判明したため、是正勧告を行い、不払いの全額が支給された。(接客娯楽業)
解雇 解雇された労働者から、30日に満たない予告日数で解雇されたにもかかわらず、30日に満たない予告日数分の平均賃金が解雇予告手当として支払われなかったという申告を受け、調査したところ、事実であることが判明したため、是正勧告を行い、不払いの全額が支給された。(保健衛生業)
労働時間

在職中の労働者から、36協定で締結した範囲を超えて時間外労働を行わせているという申告を受け、調査したところ、実際に協定時間を超える時間外労働が認められたため、是正勧告を行い、36協定の範囲内に収まるまで時間外労働が削減された。(警備業)

 

6月28日(金)令和5年度の東京労働局管内における送検状況について

労働時間・休日に関する送検件数が高い水準

1 概 要
令和5年4月から令和6年3月までの1年間に、東京労働局及び管下の労働基準監督署(支署)では、51件(前年度に比べ19件減少)の司法事件を東京地方検察庁に送検しました。
送検した司法事件の主な違反事項をみると、労働時間・休日に関する違反と労働安全衛生法において定める危険防止措置に関する違反がそれぞれ9件で最も多く、次いで賃金・退職金不払に関する違反が8件となっています。
労働時間・休日に関する違反については、前年度より5件増加しており、過去10年間で3番目に多く、高い水準となっています。
なお、業種別でみると、建設業が12件で最も多く、次いで製造業が10件となっています。

2 違反事項の内容
(1)労働基準法・最低賃金法違反・・・29件
主な送検事項
・労働時間・休日に関する違反9件
・賃金・退職金不払に関する違反8件
・割増賃金不払に関する違反5件
・解雇の予告に関する違反1件
(2)労働安全衛生法違反・・・22件
主な送検事項
・労働安全衛生法において定める危険防止措置に関する違反9件
・労災かくし7件

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