コラム

社会保険労務士シモダイラ事務所 > 人事労務 最新情報 > 令和6年度個別労働紛争解決制度の施行状況 / 令和6年度過労死等の労災補償状況

令和6年度個別労働紛争解決制度の施行状況 / 令和6年度過労死等の労災補償状況

厚生労働省より6月25日(水)「令和6年度個別労働紛争解決制度の施行状況」、「令和6年度過労死等の労災補償状況」が公表されました。
令和5年度との比較:令和5年度個別労働紛争解決制度の施行状況 / 令和5年度過労死等の労災補償状況
令和4年度との比較:令和4年度個別労働紛争解決制度の施行状況 / 令和4年度過労死等の労災補償状況

令和6年度個別労働紛争解決制度の施行状況

令和6年度個別労働紛争解決制度の施行状況

【ポイント】

1 総合労働相談件数は高止まり。助言・指導の申出件数、あっせんの申請件数は前年度より増加。
  ・総合労働相談件数は120万1,881件で、5年連続で120万件を超え、高止まり

2 民事上の個別労働関係紛争※4における相談では「いじめ・嫌がらせ」※5の件数が引き続き最多。
  ・「いじめ・嫌がらせ」の相談件数は、54,987件(前年度比8.5%減)で13年連続最多 

3 民事上の個別労働関係紛争における相談、助言・指導の申出、あっせんの申請の全項目で、「労働条件の引下げ」の件数が前年度から増加。あっせんの申請においては「解雇」が最多となった。
  ・「労働条件の引下げ」の
   相談件数は、30,833件(前年度比2.0%増加)、
   助言・指導の申出は、1,103件(同7.8%増加し最多)、
   あっせんの申請は、399件(同5.0%増加) 
  ・「解雇」のあっせん申請は、792件(前年度比0.1%減少。最多)

 

「個別労働紛争解決制度」とは
個々の労働者と事業主との間の労働条件や職場環境などをめぐるトラブルを未然に防止し、迅速に解決を図るための制度で、「総合労働相談」、都道府県労働局長による「助言・指導」、紛争調整委員会による「あっせん」の3つの方法がある。

さらに詳しく①「総合労働相談」とは
都道府県労働局、各労働基準監督署内、駅近隣の建物など379か所(令和6年4月1日現在)に、あらゆる労働問題に関する相談にワンストップで対応するための総合労働相談コーナーが設置されており、専門の相談員が対応している。

さらに詳しく② 「助言・指導」とは
民事上の個別労働紛争について、都道府県労働局長が、紛争当事者に対して解決の方向を示すことで、紛争当事者の自主的な解決を促進する制度のこと。助言は、当事者の話し合いを促進するよう口頭または文書で行うものであり、指導は、当事者のいずれかに問題がある場合に問題点を指摘し、解決の方向性を文書で示すもの。

さらに詳しく③ 「あっせん」とは
都道府県労働局に設置されている紛争調整委員会のあっせん委員(弁護士や大学教授など労働問題の専門家)が紛争当事者の間に入って話し合いを促進することにより、紛争の解決を図る制度。

さらに詳しく④「民事上の個別労働紛争」とは
労働条件その他労働関係に関する事項についての個々の労働者と事業主との間の紛争(労働基準法等の違反に関するものを除く)。

 

令和6年度過労死等の労災補償状況

厚生労働省では、過重な仕事が原因で発症した脳・心臓疾患や、仕事による強いストレスが原因で発病した精神障害の状況について、労災請求件数※2や、労災保険給付の支給決定件数※3などを、平成14年以降年1回、取りまとめています。

※1「過労死等」とは、過労死等防止対策推進法第2条において、「業務における過重な負荷による脳血管疾患若しくは心臓疾患を原因とする死亡若しくは業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡又はこれらの脳血管疾患若しくは心臓疾患若しくは精神障害をいう。」と定義されています。
※2請求件数は、令和6年度中の労災保険給付の請求件数ですが、必ずしも同年度中に決定(支給・不支給)されているものではありません。
※3支給決定件数は、令和6年度中に「業務災害(労働者災害補償保険法第7条第1項第1号)」または「複数業務要因災害※4(同法第7条第1項第2号)」と認定した件数で、令和6年度以前に請求があったものを含みます。なお、複数業務要因災害の請求は業務災害の請求と区別されずに行われることから、請求件数は区分して集計していません。
※4事業主が同一でない二以上の事業に同時に使用されている労働者について、全ての就業先での業務上の負荷を総合的に評価することにより傷病等との間に因果関係が認められる災害のことをいいます。

【ポイント】
過労死等に関する請求件数 4,810件 (前年度比212件の増加)
決定件数 4,312件(前年度比1,033件の増加
支給決定件数 1,304件 (前年度比196件の増加)
うち死亡・自殺(未遂を含む)件数 159件(前年度比 21件の増加

お問い合わせ