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【第3報】厚生労働省・派遣労使協定通達「ハローワーク別地域指数」全434所中275所の誤りを公表

7月24日(水)厚生労働省ホームページ(派遣労働者の同一労働同一賃金について)に、「同種の業務に従事する一般労働者の賃金水準(令和6年度適用)」の訂正に伴うQ&Aが掲載されました。

くわしくはこちら:派遣労働者の同一労働同一賃金について|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

掲載されたQ&Aはこちら:一般賃金通達訂正に係るQ&A

Q&Aから、前文を引用します。
令和6年度に適用されるハローワーク別地域指数の一部に算定誤りがあることが分かり、訂正させていただきました(厚生労働省 HP)。関係する皆様にご迷惑をおかけすることとなり、誠に申し訳ございません。
この Q&A は、誤りのあったハローワーク別地域指数を用いて、労使協定により賃金制度を設定されている派遣元事業主と、当該事業所に係る過半数労働組合、過半数代表者、派遣労働者(今年度に働いた経験をお持ちで既に離職された元派遣労働者を含む)の方及び派遣先事業主の方に参照いただくためのものです。
(都道府県別地域指数の方に算定誤りはなく、同指数を用いている派遣元事業主や関係者の皆様に参照いただくものではありません。)

以下のようなケースに該当する派遣会社も、ご留意下さい。
(2)締結している労使協定が訂正後の一般賃金通達を満たす場合
●派遣元事業主の判断で、正しい一般賃金水準に合うように賃金を引き下げることはできますか。
(答)
・労使協定で賃金決定の方法を定めることを前提とした制度であり、これに基づかずに、派遣元事業主の判断で一方的に賃金水準を引き下げることはできません。
・賃金の変更については、労使で十分協議した上で、労使協定に基づき行うことが必要です。それにより、変更後の協定対象派遣労働者の賃金の額が一般賃金の額と同等以上であれば、法の求める要件(第 30 条の4第1項第2号イ)に違反するものではありませんが、労使協定方式については、労使の協議を通じて派遣労働者の処遇を決定することにより、計画的な人材育成や段階的な待遇改善など、派遣労働者の長期的なキャリア形成に配慮した雇用管理を行うことができる方式であるところ、その趣旨を踏まえて、労使で十分協議をいただけるようお願いいたします。

筆者(下平)注:
上記のケースは、ハローワーク別地域指数が誤って高く算定された所(154所)の指数を参照して労使協定を締結した事業所が該当します。(本来のハローワーク別地域指数に基づく水準より、高い水準の賃金支給を協定したケースとなります。)
その場合、今回訂正されたハローワーク別地域指数に従って賃金を引き下げることが可能かどうか、という問に対し、上記の回答をしています。
今後入社する派遣労働者への対応として、今回訂正されたハローワーク別地域指数に従って賃金を引き下げした労使協定を新たに締結する事業所はあると思います。しかしながら、新協定に従って、従前から雇用している派遣労働者の賃金を引き下げることは、今回の誤りは派遣労働者に落ち度はないこと、派遣労働者の勤務意欲を削ぐことになりかねないこと、などから避けたほうがよいと考えます。

派遣先事業主の方
●派遣先事業主はどのような対応が求められますか。
(答) 一部略
・また、今般の訂正により、訂正後の一般賃金水準の方が訂正前のものより低くなるケースもありますが、この場合も、派遣元事業主は、一方的に賃金水準を引き下げることはできず、また、厚生労働省からも、賃金の変更については、労使協定方式の趣旨(労使の協議を通じて派遣労働者の待遇を決定することにより、計画的な人材育成や段階的な待遇改善など、派遣労働者の長期的なキャリア形成に配慮した雇用管理を行うことができる方式)を踏まえて、労使で十分協議を行うようお願いしているところです。このため、このようなケースにおいて派遣料金に係る協議をされる場合も、派遣労働者に係る適切な労務管理が可能となるよう、派遣元事業主の置かれた上記の状況に特段のご理解をいただけますよう、お願いいたします。

筆者(下平)注:
ハローワーク別地域指数が誤って高く算定された所(154所)の指数を参照して労使協定を締結した派遣元事業所から、派遣労働者を受け入れている派遣先事業主を対象にしたQ&Aです。
今回のことを把握している派遣先はほとんどないでしょうし、また、このことを正直に派遣先に伝える派遣会社もほとんどないと思われます。ただし、今回の誤りは、程度の差こそあれ派遣先にも影響を与えたことは事実です。

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