コラム
【労働者派遣】令和7年度・労使協定方式
派遣労働者の賃金等の待遇はどのように決まるのでしょうか?
働き方改革関連法による改正労働者派遣法により、派遣元事業主(=派遣会社)は、
①「派遣先均等・均衡方式」(派遣先の通常の労働者(=正社員のイメージ)との均等・均衡待遇の確保)、
②「労使協定方式」(一定の要件を満たす労使協定による待遇の確保)
の、いずれかの待遇決定方式により派遣労働者の待遇を確保することとされています。
このうち、「労使協定方式」については、「同種の業務に従事する一般労働者の賃金」と同等以上であることが要件となっています。
そして、上記のうち②を選択している派遣会社(事業所)が、約9割となっています。
上記の「同種の業務に従事する一般労働者の賃金」は厚生労働省職業安定局長の通達として、例年7月目途に公表され、翌年4月以降の待遇に適用されることとなっていますが、8月27日 、厚生労働省ホームページに令和7年度適用版が公表されました。
この情報・データは派遣会社にとって経営戦略を左右するものとなることは言うまでもありません。令和6年度からどのように更新されたかをおさえたうえで、賃金テーブルの見直しが必要かどうか、ひいては派遣料金の見直しまで早めに着手することをお勧めします。
派遣労働者の同一労働同一賃金について
◎同種の業務に従事する一般労働者の賃金水準(令和7年度適用)
労働者派遣法第30条の4第1項第2号イに定める同種の業務に従事する一般労働者の平均的な賃金の額に係る通知等について
令和7年度一般賃金水準(一般基本給・賞与等)の状況及び対応
令和7年度に適用される予定の一般賃金水準
○職業安定業務統計の職業計は、1,248円(昨年度より上がる職種:―、下がる職種:―)
○賃金構造基本統計調査の産業計は、1,320円(昨年度より上がる職種:85職種、下がる職種:44職種)
※職業安定業務統計は、厚生労働省編職業分類をもとに分類分けがなされているが、令和7年度適用分の一般賃金水準から改定後の職業分類を使用し算定していることから、昨年度との比較が困難であるため、「―」としている
一般賃金水準に用いる各指数等の更新(主なものを抜粋)
●賞与指数:0.02(変更なし)
●能力経験調整指数(下表の通り)
0年 | 1年 | 2年 | 3年 | 5年 | 10年 | 20年 | |
令和7年度 | 100.0 | 116.0 | 124.3 | 127.0 | 133.0 | 149.4 | 179.3 |
令和6年度 | 100.0 | 115.1 | 126.2 | 128.1 | 134.9 | 147.0 | 183.1 |
●一般通勤手当:73円(※令和6年度:72円)
●退職金割合:5% (変更なし)
(参考1)派遣労働者の同一労働同一賃金【概要】
○派遣労働者の同一労働同一賃金については、派遣元事業主に対し派遣先均等・均衡方式又は労使協定方式のいずれかの待遇決定方式による公正な待遇の確保を義務づけている。
○労使協定方式には、「一般労働者の賃金(一般賃金)額と同等以上」の要件があり、統計調査等による一般賃金額を局長通達で示している。
(参考2)厚生労働省編職業分類の改定
詳しくはこちら:(注)令和7年度適用の通達から「職業安定業務統計」の職種区分に変更が生じますので、協定締結の際はご留意願います。
厚生労働省編職業分類の概要及び改定経緯
○職業安定法第15条(標準職業名等)に基づき、労働力需給調整機関において共通して使用するものとして作成されているもの。
◯前回改定(平成23年)より10年以上が経過し、この間の産業構造、職業構造の変化等に伴い、求人・求職者の職業認識との乖離が生じている分野もみられたため、令和4年4月に改定がなされた。
主な改正内容
◯大分類項目の見直し(11項目→ 15項目)
⇒「専門的・技術的職業」、「サービスの職業」について整理、項目名を分かりやすいものとなるよう見直し
○中分類項目の見直し(73項目→ 99項目)
⇒マッチングの観点から項目名・分け方を見直し
○小分類項目の見直し(369項目→ 440項目)
○細分類項目の廃止(892項目→0項目)
⇒「細分類」の廃止に伴い、マッチングの観点で必要なものについて、小分類項目に位置づける等見直し
適用時期
○労使協定方式による一般賃金水準(一般基本給・賞与等)の算出に当たっては「職業安定業務統計」を活用しているが、「職業安定業務統計」は厚生労働省編職業分類を基に分類分けがなされている
○改定後の職業分類による数値は令和5年度分から集計しており、令和7年度適用分の一般賃金水準から改定後の職業分類を使用
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